第177章 家も子も捨てる

彼がこれほどまでに頭を下げて説明したというのに、水野佑奈は変わらず冷酷だった。ならば――もう遠慮する必要もない。

有川グループへ戻った頃には、外はすっかり日が落ちかけていた。社長室だけが相変わらず明るく、机に向かった有川紘樹がパソコンに何かを打ち込んでいる。

どれほど時間が経ったのか。画面の資料はすでに骨格を成し、そこにはランティンへの圧力プランが並んでいた。しかもそれだけではない。川西家、小林家まで、きっちり計算に入れてある。

有川紘樹は読んでいた。ここまで追い込めば、川西拓海も小林圭吾も自分のことで手一杯になる。そうなれば、水野佑奈こそが――自分が一気に攻め込める「穴」になる。

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